鋼管にはさまざまな製造方法がありますが、その中でも鍛接鋼管は古い歴史を持つ製法の一つです。この記事では、鍛接鋼管の定義や製法の原理、歴史的背景から用途、そして電縫鋼管へと置き換えられていった理由までを解説します。
鍛接鋼管(FW管)とは、鋼板や帯鋼を筒状に成形し、その継ぎ目を高温で加熱したうえで圧力を加えて接合した鋼管です。英語では Friction Welded Pipe または Furnace Welded Pipe と呼ばれます。
溶接材料を使用せず、母材同士を直接一体化させる点が特徴で、比較的古くから用いられてきた製管方法の一つです。主に低圧配管や一般構造用途などで使用されています。
鍛接鋼管の製法は、帯状の鋼材を連続的に加熱炉へ通し、鍛接に適した高温状態まで加熱することから始まります。その後、ロール成形によって鋼材を円筒状に曲げ、突き合わせた端部に圧力を加えることで接合します。
この過程では材料が塑性流動を起こし、拡散結合によって一体化します。接合後は余盛りを除去し、所定の寸法や品質に仕上げて完成します。
鍛接鋼管は、溶接鋼管の中でも古い歴史を持つ製法として位置づけられています。近代的な電気溶接技術が確立される以前から、鉄を高温で加熱し、圧力によって接合する鍛接の技術は広く用いられてきました。
この方法を鋼管製造に応用したものが鍛接鋼管であり、初期の配管や構造用途を支えてきました。現在では他の製法が主流となっていますが、溶接鋼管技術の原点として重要な役割を果たしてきた製法です。
鍛接鋼管の接合は、高温に加熱された鋼板の端部同士を重ね合わせ、または突き合わせた状態で圧延機により強い圧力を加えることで行われます。加熱によって鋼材は塑性変形しやすい状態となり、圧力を受けることで表面が密着し、原子レベルで結合が進みます。
この拡散結合により、溶加材を使用せずに一体化した接合部が形成されます。こうした単純かつ確実な原理が、長年にわたり実用化されてきた理由です。
鍛接鋼管は、製法が比較的簡易で大量生産に適していたことから、かつては一般的な低圧配管用途に広く使用されてきました。代表的な用途は、水道管や都市ガス配管、蒸気配管などです。
また、機械構造用や建築分野においても、強度要求が比較的低い箇所で用いられてきました。これらの用途では高い耐圧性能よりも実用性や経済性が重視されており、鍛接鋼管は当時の社会インフラを支える重要な材料でした。
鍛接は高温と圧力による接合であるため、加熱条件や圧延状態のばらつきが溶接品質に直接影響します。その結果、溶接部の均一性や信頼性を安定して確保することが難しいという問題がありました。
また、内部欠陥の検出が困難であったことも課題です。こうした品質管理上の制約から、より安定した溶接品質を確保できる電気溶接鋼管へと主流が移行していきました。
鍛接鋼管(FW管)から電縫鋼管(ERW管)への置き換えは、鋼管製造技術の進化が大きな要因です。従来の鍛接鋼管は高温で加熱・圧延して接合する方式ですが、加熱条件や圧力制御による品質のばらつきが課題でした。
一方、ERW管は高周波電気抵抗溶接により鋼板を円筒形に成形し溶接するため、寸法精度や生産性が向上し、溶接品質の安定化にも寄与しました。こうした品質・生産性・信頼性の向上が主な置き換え理由となっています。
現在では、一般的な配管用途においてERW管が主流となっています。ERW管は鋼板の縦方向のシームを高周波電気抵抗溶接で接合する方法で、寸法精度や製造効率が高いことが特徴です。従来の鍛接鋼管と比べて均一な溶接品質が得られるため、水道管やガス管、一般配管用鋼管(SGPなど)で広く採用されています。
また、ERW技術は継続的な改善が進み、より高品質・高信頼性の鋼管を安定して生産できるようになっています。
鍛接とは、金属を溶融させることなく、固体のまま高温状態で圧力を加えて接合する固相接合の一種です。加熱によって材料は塑性変形しやすくなり、表面の酸化物や不純物が押し出されることで、清浄な金属面同士が密着します。
その結果、原子の拡散が進み、一体化した接合部が形成されます。溶融を伴わないため、材質の変化が比較的少なく、母材に近い組織を保てる点が固相接合としての大きな特徴です。
一般的な溶接は、金属を溶融させてから凝固させることで接合する方法であり、溶加材を用いる場合も多くあります。一方、鍛接は材料を溶かさず、固体の状態で圧力を加えることで接合します。溶融・凝固に伴う割れや組織変化が起こりにくいです。
ただし、接合には高温管理と十分な圧力が必要であり、条件が不適切だと接合品質が安定しにくいという違いもあります。
鍛接鋼管は、かつてJIS規格をはじめとする各種規格において独立した鋼管種として規定されていました。しかし、現在のJIS規格では、鍛接管を明確に区分した規定は少なく、多くの場合は一般配管用鋼管や構造用鋼管などの枠組みの中で扱われています。製造方法として鍛接を指定するケースは限定的であり、品質や性能要件を満たすことが重視される位置づけとなっています。
このため、鍛接鋼管は現行規格上では補助的、または歴史的な製法としての扱いに近づいています。
近年の規格改訂では、製造方法ごとの細かな区分よりも、性能や品質基準を重視する傾向が強まっています。その流れの中で、鍛接鋼管は電縫鋼管やその他の溶接鋼管規格へ統合、または実質的に置き換えられてきました。
特に一般配管用途では、安定した品質管理が可能なERW管が標準となり、規格上もそれを前提とした構成が採用されています。こうした統合傾向は、国際規格との整合性を高める動きとも一致しています。
鍛接鋼管は、溶接鋼管の原点ともいえる製法として、長年にわたり配管や構造用途を支えてきました。固相接合による独自の特徴を持つ一方、品質の安定性や管理面では限界があり、技術進化とともに電縫鋼管へと主流が移行しています。
現在では規格上も歴史的な位置づけとなっていますが、鍛接鋼管は鋼管製造技術の発展過程を理解するうえで重要な存在であるといえます。
当メディアは加工管メーカーを特集したメディアです。新規導入や入れ替えを検討している方は是非お役立てください。
加工管メーカー探しをサポートする本メディア「カコチョイス」では、他にも製法別で鋼管の基本知識をまとめています。併せてご覧ください。
引用元:シンテック公式HP
https://shin-tech.jp/business/prefab/
継手内側の保護層を一体で成形した構造を採用。内側に保護層を重ねる従来の継手と違い、洗浄しても浮きや剥がれが起きない。剥離片による異物混入や製品の廃棄を防ぐ。
| 対応材質 | 鋼管、ステンレス、ポリエチレン、ナイロン、硬質塩化ビニル |
|---|---|
| 加工技術 | つば出し・バーリング・ルーズフランジ・ネジ切りなど |
引用元:ノーラエンジニアリング公式HP
https://www.nowla.co.jp/
溶接を使わないつば出し加工とフランジ接合で、強度の高い継手構造を採用。消防認定※を受けた継手部が高い密着性を確保することで、瞬間的な加圧でも破裂や漏れのリスクを抑えられる。
| 対応材質 | 鋼管、ステンレス、ライニング管 |
|---|---|
| 加工技術 | つば出し·溶接·ネジ切り·フランジ·グルービングなど |
引用元:カワトT.P.C.公式HP
https://www.kwt-tpc.co.jp/prefab/
止水栓と継手を一体化した構造で、本来現場で行う締め付け作業が不要。ワンタッチ接続のため、配管を差し込むだけで固定できる。体が入りにくい狭い場所でも、工具を使わず短時間で施工することが可能。
| 対応材質 | ポリエチレン、ポリブテン、エルメックス樹脂管 |
|---|---|
| 加工技術 | 曲げ加工·切断加工·継手組込みなど |
※参照元:ノーラ・エンジニアリングHP(https://www.nowla.co.jp/download/certificate.php)