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アーク溶接鋼管(SAW管)

目次

アーク溶接鋼管(SAW管)は、フラックスを用いてアークを覆いながら溶接を行う鋼管です。その優れた強度と耐久性から、石油・天然ガスのパイプラインをはじめとする重要なインフラ設備に欠かせない存在となっています。この記事では、SAW管の製造プロセスや特長、他製法との使い分けのポイントを解説します。

アーク溶接鋼管(SAW管)
とは?

SAW管の定義

アーク溶接鋼管(SAW管)とは、英語でSubmerged Arc Welded Pipeと呼ばれる鋼管の一種です。鋼板を円筒状に成形したのち、その継ぎ目をアーク溶接によって接合して製造されます。溶接の際、溶接ワイヤと粒状のフラックスを用い、アーク光をフラックスの下に潜らせた状態で作業を行うのが特徴です。

この製法により外部からアークが見えにくくなり、安定した溶接を実現しています。主に大径で肉厚の鋼管に適しており、石油やガス輸送用配管など幅広い用途で利用されています。

フラックスを用いた溶接方式の特徴

SAW管に用いられるフラックスを使用した溶接方式は、溶融金属を大気から遮断できる点が大きな特徴です。フラックスが溶接部を隙間なく覆うことで、酸化や窒化を防ぎ、溶接品質の安定につながります。

また、アークが外部に露出しないため、スパッタやヒュームの発生が比較的少ないです。さらに、高電流での溶接が可能で、溶け込みが深く生産性が高い点も大きな利点といえます。長尺かつ高強度が求められる鋼管の製造に適切な方式です。

製法の原理と特徴

アーク光を覆うフラックスの役割

SAW溶接では、アーク光が粒状のフラックスによって完全に覆われた状態で溶接が行われます。このフラックスは、溶接中に発生する高温のアークや溶融金属を大気から遮断する役割を担うものです。酸素や窒素の混入が抑えられ、溶接金属の品質が安定しやすくなります。

また、アーク光が外部に露出しないため、熱が効率よく母材に集中します。アークが安定し、均一な溶接を可能にする点も重要な特徴です。

深い溶け込みと高電流使用のメリット

フラックスによってアークが覆われることで、SAW溶接では大電流を使用することが可能になります。高電流から発生する強い熱エネルギーは、母材の奥深くまで届き、深く安定した溶け込みを実現します。厚板や大径鋼管の溶接に適した製法です。

さらに、溶接回数を減らせる場合もあり、作業効率の向上が期待できます。安定した品質と高い生産性を両立することが可能です。

SAW管の大きな特徴

大口径・厚肉への適性

SAW管は、大口径かつ厚肉の鋼管製造に適した製法です。高電流を用いた安定したアーク溶接が可能なため、厚い鋼板でも十分な溶け込みを確保できます。

その結果、一層または少ない溶接パスでの接合が可能となり、生産効率の向上につながります。直線的で長い溶接線を連続して施工しやすく、大径鋼管の成形後溶接に適切な方式です。エネルギー輸送用配管などで幅広く採用されています。

高強度な溶接継手の形成

SAW管では、深く均一な溶け込みが得られるため、高強度な溶接継手を形成しやすい点が特徴です。フラックスによって溶接部が保護されることで、欠陥の発生が抑えられ、安定した金属組織を得られます。

その結果、母材と同等、またはそれに近い強度を持つ継手が実現します。溶接品質のばらつきが少なく、信頼性の高い接合が可能。耐圧性や耐久性が求められる用途に適した、極めて堅実な構造です。

主な種類と製法

直線アーク溶接管(UOE法、
JCOE法)

直線アーク溶接管は、UOE法やJCOE法と呼ばれる成形方法によって製造されるSAW管の一種です。大型の鋼板をU字やJ字、さらにはO字状へと順次成形し、その突き合わせ部をサブマージアーク溶接で接合します。

成形後には拡管工程が実施され、寸法精度と真円度がさらに高められます。厚肉かつ高強度な鋼管を製造できる点が大きな特長。高圧環境下で使用される石油・天然ガスのパイプラインなどに多く用いられています。

スパイラルアーク溶接管
(S-SAW管)

スパイラルアーク溶接管は、鋼板をらせん状に連続成形しながら溶接を施すSAW管です。成形と溶接を同時に進められるため、管径を比較的柔軟に調整できる利点があります。

長尺の鋼板を効率よく活用でき、大口径管の製造にも非常に適した手法です。主に大口径の水道管や下水道管、大規模な土木構造物などで使用されています。

主な用途と規格

SAW管は、石油や天然ガスを輸送する長距離パイプラインや高圧輸送管、大規模な構造物などに広く用いられています。深い溶け込みによる高強度な溶接継手を有するため、内部圧力や外部荷重に対する信頼性が高い点も大きな評価ポイントです。

また、橋梁や大型タンク、海洋構造物といった大規模な構造物にも適用されるケースがあります。これらの用途ではAPI規格やJIS規格など、用途に応じた厳格な基準が定められており、品質管理された製造が欠かせません。高い安全性と耐久性を必要とする分野で、極めて重要な役割を担う鋼管です。

電縫管(ERW管)との使い分け

SAW管と電縫管(ERW管)は、用途や要求性能に応じて適切に使い分けられています。ERW管は鋼帯を連続成形し、高周波電流で溶接する製法のため生産性が高く、中低圧用途や小~中径の配管、量産品に適した製品です。

一方、SAW管はフラックス下でのアーク溶接により深い溶け込みが得られ、高圧・大口径・厚肉に特化しています。必要な圧力条件や管径、強度要求を総合的に踏まえた選定が不可欠です。

まとめ:アーク溶接鋼管は
高圧配管を支える高信頼鋼管

アーク溶接鋼管は、フラックスでアークを覆い溶接する鋼管です。大電流による深い溶け込みが可能で、高強度かつ均一な溶接継手を形成できる点が大きな特徴といえます。

この製法は厚板や大口径の製造に適しており、電縫管と比較して高圧条件への耐性に優れています。エネルギー輸送用パイプラインや大規模構造物など、高い安全性と耐久性が求められる分野で不可欠な存在です。

当メディアは加工管メーカーを特集したメディアです。新規導入や入れ替えを検討している方は是非お役立てください。

鋼管を製法別に解説

加工管メーカー探しをサポートする本メディア「カコチョイス」では、他にも製法別で鋼管の基本知識をまとめています。併せてご覧ください。

【性能別】
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※参照元:ノーラ・エンジニアリングHP(https://www.nowla.co.jp/download/certificate.php)